透明袋とは?主な種類・材質・用途を徹底解説
透明袋は今や製品パッケージ・包装に欠かせない製品の1つです。ひとくちに透明袋といってもその種類や材質はさまざまであり、使用素材によっても特徴や用途が少々異なります。
ここでは透明袋の主な種類や、使われる材質、用途などを解説します。
透明袋とは
「透明袋」とは、一般的にポリエチレンやポリプロピレンなどの透明なシートを容器・袋に加工した、透明な袋のことです。製品パッケージ・包装の広範な分野で用いられており、材質によりその主な用途が決まっています。
透明袋とビニール袋の違い
透明袋とビニール袋やポリ袋を混同して説明されることもありますが、両者には明確に違いがあります。透明袋は透明な袋全般を指す言葉、つまり透明なビニール袋やポリ袋も含めた総称です。対してビニール袋は塩化ビニール製の袋のみを指しています。
日本で合成樹脂製の時計バンド、ハンドバッグ、バケツ、袋などが本格的に普及した1950年代後半、その材質は塩化ビニールでした。しかし1970年代後半以降、燃えると有害ガスが発生すると騒がれた塩化ビニールは、公衆衛生の観点から合成樹脂製品の材質は次第にエチレン・プロピレンに替わってゆきました。そして製品パッケージ・包装材の素材の大半がエチレン・プロピレンになった現在も、これよりも歴史が古い「ビニール袋」を「透明袋」と同義語で使っている方が一定数存在すると言われています。
材質別・透明袋の特徴と用途
透明袋の材質には主に次の6種類があり、材質により特徴や用途が異なります。
LDPE:低密度ポリエチレン
LDPEは原油から精製したエチレンを、高圧重合により製造した石油化合物です。透明で柔らかく、引き裂き・引っ張りや高熱・低熱の双方に対する強度が高いのが特徴です。しかも無臭で毒性もありません。このため主に食品や衣料品の包装、カレンダーの包装、マヨネーズ・ケチャップ・ソース・醤油の容器などに用いられています。
<主な特徴>
- フィルムの伸びがよく、突き刺し強度・耐衝撃性に優れている。
- しなやかで伸びやすい。
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
LLDPEは、LDPEと同じく原油から精製したエチレンを、重合により製造した石油化合物です。LDPEとの違いはイオン重合により製造している点で、短分子鎖が直鎖状に連なっており、物理的強度がLDPEより高いのが特徴です。特に耐衝撃性、密封性などがLDPEより優れており、米、食塩、砂糖、ハム・ソーセージ・焼豚等畜産加工品の密封包装などに用いられています。
<主な特徴>
- LDPEより突き刺し強度・耐衝撃性、密封性に優れている。
- しなやかで伸びやすい。
HDPE:高密度ポリエチレン
HDPEの原料もエチレンですが、LDPEやLLDPEとは異なる触媒と中・低圧重合により製造した石油化合物です。15~25ミクロンの薄さでありながら引っ張りに強く、耐熱性や防湿性もあります。このため主にレジ袋、単位自治体指定の可燃ゴミ用ゴミ袋、惣菜・弁当・持帰り料理用容器、新聞・雑誌の雨除け包装材などとして用いられています。
<主な特徴>
- 薄くても引っ張り強度があり伸びにくい。
- 耐熱性と防湿性に優れている。
- 硬くてシャキシャキとした手触り感がある。
- 引き裂き強度が低い。
CPP:無延伸ポリプロピレン
CPPは原油から精製したプロピレンを、重合により製造した石油化合物です。LDPEよりも透明で防湿性に優れ、コシも比較的あります。しかし耐衝撃性や耐寒性が低いのが玉に瑕と言えます。透明袋の中では最軽量の材質で、主に雑貨、食品類、アパレルなどの包装に用いられています。
<主な特徴>
- 防湿性に優れ、軽量かつ低コスト
- 熱シール性が高い
- 耐寒性がないため寒冷地の使用には注意が必要
OPP:二軸延伸ポリプロピレン
OPPも原油から精製したプロピレンを、重合により製造した石油化合物です。縦横の二軸で引っ張った状態で熱をかけてポリプロピレンシートに加工しているのが特徴です。このため腰が強くて伸びにくく、防湿性や透明性にも優れています。主に軽量の雑貨、衣料品、食品の包装などに用いられています。
<主な特徴>
- 腰が強くて伸びにくく、防湿性に優れておりかつ低コスト
- 印刷適性が高い
- 低温かつ高速で溶着できる。
LLDPE:メタロセン触媒直鎖状短鎖分岐ポリエチレン
LLDPEは、メタセロンを触媒にした重合により製造した石油化合物で、比較的新しい透明袋の材質です。引き裂き・引っ張り・突き刺しの強度に優れており、機械強度も高くなっています。このため、主に加工食品を段ボール箱に詰める前の包装ラインの包装材に用いられています。
<主な特徴>
- 引き裂き強度、引っ張り強度、突き刺し強度などに優れている。
- 機械強度が高いのでライン包装に適している。
- 原料に添加物を加えることで様々な機能を持たせられる
形状別・透明袋の種類
透明袋は形状も多彩です。主なものだけで次の10種類があります。
サイドシール袋
CPP・OPPのような一枚もののシートを二つに折り、開口側を指定幅で溶着した袋です。主にスナック菓子、肌着などの包装やダイレクトメール用透明封筒などに用いられています。平袋やヘッダー付き、テープ付きなど豊富なラインナップがあります。
関連ページ:OPP袋とは?(透明袋全般)
関連ページ:平袋とは?
三方袋
シートを二つに折り、その両横と底部の三方を溶着した袋です。密封性が高いので主にレトルト食品の包装に用いられますが、化粧品や衛生用品の包装にも用いられています。
関連ページ:三方袋とは?売れるパッケージ袋の選び方と陳列方法
ボトムシール袋
筒状に成形したシートの底を溶着した袋です。袋強度が高く、厚みの調節も容易なので、厚くすれば重量物の包装にも適応します。ゴミ袋や肥料袋によく用いられますが、工場から出荷する製品の保護袋、農業用資材の保護袋などにも用いられています。
ピロー袋
一枚のシートを背中合わせで筒状にし、指定の長さで底部を溶着した袋です。この形が枕に似ているのでピロー袋と呼ばれています。不活性ガスを充填すれば製品の長期保存ができるので、食品や医薬品の包装に広く用いられています。
ガゼット袋(スタンド袋)
マチ付きの袋です。直方体形状の製品包装に適しています。またマチのない袋と比べると、一度にたくさんの製品を包装できます。その代表的な用途がレジ袋と言えます。
また、サイドシール袋や三方袋にマチをつけると袋自体に自立性を持たせられます。
特に三方袋は自立性、ディスプレイ性が良く目立ちやすいので、小売店の店頭で陳列する様々な製品の容器として広く用いられています。
真空袋
鮮魚、生肉、生野菜などの鮮度を保つため、食材を真空状態で包装するための袋です。材質は食材酸化防止機能があるNY(ナイロン)と、製袋加工がしやすいLLDPEをラミネートしたフィルムが主に用いられています。
ヘッダー袋
OPPを材質に製袋した袋の上部左右の真ん中に穴を空け、製品陳列棚のフックに掛けられるようにした袋です。手芸品、文房具品、アクセサリ、化粧品、雑貨品など小物製品の店頭陳列に広く用いられています。
関連ページ:ヘッダー袋とは?
ヤマガタグラビヤの透明袋
ここでは例として平袋とヘッダー袋をご紹介します。
平袋
フィルムシートを二つに折り溶着した、シンプルな形状の袋です。口を閉じたい場合はシーラーで封緘することも可能となります。
<採用事例>
- ホテルや旅館のアメニティ
- アクセサリ、化粧品
- 玩具
- ペット用品
ヘッダー袋
吊り下げることで、空間を有効利用しつつ商品を販売可能な袋で、量販店でも多く見かける形状となります。中に入れる商品の重量や形状等にあわせ、適切な袋をご提案します。
<採用事例>
- 各種文房具品、
- トイレタリー用品
- 化粧品
- 衛生用品
- 雑貨品
関連ページ:ヘッダー袋・平袋の製品紹介
まとめ
透明袋は、融点が低く加工しやすい、防湿性に優れる、耐薬品性に優れる、原料が安価などの共通した特徴があります。
ただし材質や形状、手掛けるメーカーによりその他の特性・用途が異なっています。袋の形状は似ていても、袋の材質、製袋加工、印刷に違いがあると言えます。そのため透明袋の発注に際しては、製袋加工と印刷の実績が豊富で、提案力のある包装材加工メーカーに相談することをおすすめします。
ヤマガタグラビヤでは、さまざまな透明袋を含む特殊用途の特注袋の製作も受託しています。長年の事業歴により蓄積してきたノウハウと経験に基づき、お客様の用途やご希望にあわせて最適な袋の製作を提案しています。